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Na-Thought

フィクションでもノンフィクションでもいいのです

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初恋「はじまり」

「ねぇ、佐羽内が亜子のメルアド教えてって」
 
高校2年生の秋、これから本格的に寒い時期がやってくる頃、6組の沙耶から連絡がきた。少し肌寒くなりはじめた帰り道、まだおろしたての新しいマフラーをまきながら自転車をこいでいるとスカートのポケットの中で携帯が震えた。
 

 


 
佐羽内はうちの野球部員。
マネージャーをしている私と彼は、面識はあるもののそれ程会話を交わす仲でも無く、ただ同じ部活の部員同士という関係でメールアドレスなどは知らなかった。
「佐羽内って、沙耶と付き合ってるんじゃないの?」と、冷たい手を温めながらメールを打つ。そう、沙耶と佐羽内が1ヶ月程前から付き合いだしたという事は風の噂で聞いていた。それ程二人の関係に興味が無かったので気にも留めていなかったけれど、付き合いたてのカップルが、恋人に別の異性との繋がりを持たせるというのも不思議な話だった。
 
「じゃあ亜子のアドレス伝えておくね」と質問の返事にもならない一方的なメールが返ってきたが、特に普段から仲良くしていたという訳でもなかったので返事をするのをやめた。
 
少し薄暗くなり出した帰り道、寒い。
携帯をもう一度ポケットにしまい帰路についた。
 
異性が自分の知らない所で自分の事を知りたいと言っていた事を考えると少しソワソワする。更に、その異性が毎日部活で顔を合わせている男の子だと思うと、何だか余計にくすぐったい。
 
 
あくまでも、恋人のいる子だし、部員同士だし、滅多な事はないだろうなぁ、と思うとふっと笑えてきた。でも、そう思えば思うほど、変にワクワクし、自転車をこぐ足に力が入った。早く帰ろう。